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借換

こんにちは~

今日は、借換の話になります。
借換とは、高い金利で組んでいた住宅ローン等を、より低い金利で借り入れ直すことです。例えば、X銀行から融資してもらっていた住宅ローンをもっと金利の低いY銀行から借り入れ直すなどです。その際司法書士は、X銀行の抵当権抹消登記、Y銀行の抵当権設定登記に関与します。

さて、その日も新しい借換の案件が来た!と思って、登記簿を見てみると、「えっ!」。
元々Aが土地を借りていて、その上に自己所有の建物を建てたという状態でした。土地の登記簿にはAの賃借権の設定登記がされていて、その賃借権にX銀行の質権の設定登記がされています。
その後、Aが土地の所有権を取得しています。この時点で、Aが所有している土地上のAの賃借権となり混同が生じているはずですが、その賃借権を目的としたXの質権が設定されているため、賃借権は消滅しません(民法520条)。

「民法520条
 債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。」
混同1

今回、このX銀行からY銀行に借換をして、登記をしようというものでした。

この場合、
①賃借権に設定されているX銀行の質権の抹消登記
②(ここで混同が生じるので)Aの賃借権の抹消登記
③Y銀行の抵当権設定登記

と、賃借権を抹消する登記を入れないといけません。受験勉強で出てきそうな場面に実務で遭遇するとは(;^ω^)

混同2

注意点としては、
①質権を抹消するのにX銀行の抹消書類が正しく準備されているか?権利が抵当権になっていないか?わりと珍しいケースなので、ひょっとしたら抵当権の抹消書類が準備されているかもしれない。
②賃借権の混同による抹消では登記原因証明情報は原則として不要です。また、Aは登記権利者兼義務者として単独で申請することになりますが、Aの賃借権の登記済証(又は登記識別情報)の添付は必要です。

「混同を原因とする権利に関する登記の抹消を申請する場合において、混同によって当該権利が消滅したことが登記記録上明らかであるときには、登記原因証明情報の提供は要しない(登研690号221頁)」

原因日付は質権が消滅した日(今回は借換の実行日であってAが土地の所有権を取得した日ではない)となります。
特に2件目の賃借権の混同抹消では、登記原因証明情報が要らない登記などそれほど無いので、これはなかなか緊張しました(;^ω^)
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